「鳴雪自叙伝」 内藤鳴雪(岩波文庫)

幕末〜明治維新に、社会変動を体験した人の自伝です。 というと、 熱い理想をもって時代を駆け抜けた人!の本を思い浮かべるかもしれませんが、全然違います!

ここには若い武士の「生き生きした・普通 の日常」がリアルに書いてあるのです。文庫の表紙には「青春お侍さんマンガ」にピッタリの「への字口」青年。凛々しいですよ〜!

彼は、ちょっと文化系で、引っ込み思案。でも、ふにゃふにゃな人ではありません。固いものを食べた時代の子ですからね!文庫の解説に「独特のユーモアが漂い」ってあるけれど、ホント微妙に笑える文章です。この手の自伝が苦手な私も、どんどん(一部とばし読み)読むことができました。

◇関所にびびり、

◇おばあちゃん子で、つい元服が遅れ(笑)

◇お父さん、お母さんを無条件に尊敬して、

◇名物の菓子を見つければ、大量に食って
具合が悪くなり

◇船で「不作法な平民ども」と乗り合わせてドギマギし

◇旅の宿では、マッサージを受けてリラックス。

と、ごく普通なんです。

武士っぽく威張った口調とうらはらに、アタフタしている様子も、また可愛い・武士の質素なライフスタイルもよくわかる。70才まで絹の着物は禁止とか、オカズは邸内で栽培した野菜と沢庵とか、ブタに排泄物を処理させるとか。とにかく自給自足で、超ヘルシー。若い頃、一時的にハイカラ病にかかった著者が、早速洋装に変えてみるところなんかも描かれています。


彼はその後、俳人になり、正岡子規と親しくなったとのこと。 2002年、武士はレイア姫、アミダラ姫のように遠〜い遠い存在ですが、以前は「俺、昔、武士やっててさあ・。」という人がたくさんいたのでしょうね。なお、幕末の人達のルックスはこちらで御覧いただくとよりイメージがふくらむでしょう。

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