表紙

 

【職業いろいろ!】


■古着屋さん


柳原(現在の東京・神田の万世橋から浅草橋にかけての神田川南岸)の古着屋街。

【柳原というところは、ボヤッとして歩けない。ズラッと並んだブランコ古着の影から、「さあー、いらっしゃい」とその声が威嚇するように飛び出す。迂闊に冷やかしなんかしようものなら、去年、自分の売った古洋服なんかを押しつけられる。】雨上がりの絵で、人々のかっこうも雨仕様ですね。

これも、柳原の古着市の絵です。お店の人の重ね着の仕方が…。


■産婆さん

 


かつての産婆さん。立派な体格です。
電信柱には生まれたての桃太郎の看板が。

「日本では、1年に80万も赤ん坊が増えていくと云ふのだから、従って産婆の繁盛、おして知るべしである。女髪結ひと産婆を女房に持てば、亭主は左団扇とさへ云はれている」

同じ人の描いた元気いっぱいの「痴人の愛」はこちら。


■オデンやさん

 


オデン屋亭主のひとりごと。

「どうも今夜のお客はどれもこれもオデンのような顔をしていやがる。ヒョッとすると、こいつあオデンが俺にたたっているんじゃないかな」

画面中央の丸顔くん、袖口からラクダがニューッと。後ろには、タコのような人が着物で日本酒を美味しそうに飲んでいますね。


■マネキン人形


戦前のマネキン人形。 人形なのに布が静止状態ではなく、優美な動きがあるイメージ…。

当時は、人形師が「松子」「白子」など人間なみに名前をつけ、注文主の方でも「今月、松子は出来ましたか?」などと聞いていたそうです。

着物を柔らかい布として考えていたことがわかる絵はこちらにも。


■美容院

中島史郎

戦前の美容院、お店の人もお客さんも着物ですね。お店の人は割烹着。

【「奥様は、きめが細かくていらっしゃいますから、本当に仕事が楽でございますわ。それに見事なお髪で、コテをあてますのが惜しいやうで…」と、お世辞の商売だ。】という説明文がついていました。

「着物で労働」はこちらにも。


■電話交換嬢


■泣きながら仕事する電話交換嬢。顔が見えないからといって、ずいぶんひどいことを言う人がいたらしいです。 「可哀想に、妙齢の女性にもったいない話だ。加入者に可愛い顔の見える装置にすれば救はれるだらうが」 と、解説がついていました。

■泣きながら仕事といえば、元・武士(っていう言い方でいいのかわからないけど)の書いた「鳴雪自叙伝(岩波文庫)」には、役所づとめがいやでノイローゼっぽくなってしまったエピソードがあありました。

作者はお芝居の大好きな、どちらかというと文化系の武士。明治維新のあとは文部省に勤めて、10年ほど真面 目に働きました。しかしそこでずいぶん「精神衰弱」「不眠症」に苦しみ&寂寞を感じ「役人生活が嫌となると、もう1日も勤める気がなくなって、遂にやめることにした」。

役所をやめたあとはヒマなので東京中の名所を白地図をもってまわり、通 った箇所に朱をひいては地図が赤くなるのを嬉しがっていたそうです。←今だったら、きっとブログやっていますよね。


■渡し守



「渡し守 一竿(ひとさお)戻す 知った人」(古川柳)

この風呂敷を背負ったスタイル、「Dondokodon平畠」「あのねのね清水」などに似合いそうです。以前、皆さんと考えた「着物の似合いそうな芸能人一覧(男子編)」はこちら。


■女中さん



【奥さん、女中部屋をのぞいてまだ床の中にゐる女中に、
「お前ご飯はできて?」
女中「今朝はお腹が空きませんから」】

女中さんも奥さんも、下着状態の朝。
奥さんのうしろに、巨大な太陽がのぼっていますね。


■デパートガール


■デパート店員の斬新な上っぱりや、少女ウェイトレスの洋装に「ノーブルだ!可憐だ!」と萌えている絵です。これぞ制服のマジック!

ところがステキな制服を脱いで帰宅する時、彼女達は着物を着た「ただの小娘」に戻ってしまう…。そのがっかりした気分が可笑しいのです。

この絵のポイントは、キモノ姿は平凡だなあー、という当時の視線。

21世紀は「着物を着ると、シャンとします。」的な言い方がありますが、全員が着物だった時代は、洋装の時にこそシャン!!としたことでしょう。

■戦前のデパートガールの生態を描いた獅子文六の「青春売場日記」(昭和12年)。
【男爵令嬢の春美さん】と、狭い路地に住む【貧しい偵子さん】が、揃ってデパートに就職するというお話です。(春美さんは金持ちだけど、冒険心から働いてみるという設定)

華族サマの春美さんは洋装で出勤、貧乏な偵子さんはキモノで出勤します。
……キモノの人の方が「まるビ」(死語)の時代ですな。

この小説は当時のデパガ採用基準もわかって興味深いです。
(例

身内に赤い思想にかぶれたものがいないこと。
身内に芸者がいないこと。
近眼ではないこと。(眼鏡は生意気だから)
出来るだけ両親ともに揃っていること。

 

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